
こんにちは!株式会社テラ AIエンジニアリングチームです。
「AIを使えば、素人でもホームページが作れる時代になった」
「資料も、コピーも、企画書も、AIに頼めばそれなりのものが出てくる」
「じゃあ、もう専門家に頼む必要はないのでは?」
生成AIの普及とともに、こんな声がよく聞かれるようになりました。
実際、AIは優秀で、あらゆる調査、思考、作業の初期段階を迅速にこなしてくれるので、時々、もう人間は何もしなくて良いのでは?と錯覚しそうになります。
しかし、現場で成果を出す場面に立ち会ってきた私たちの実感として、ひとつだけ確かなことがあります。
それは、「作れる」と「成果が出る」の間には、依然として高い壁があるということです。
そして、この壁をなるべく低くするために必要なのは、AIを否定することでも、専門家に丸投げすることでもありません。
AIと専門家を、フェーズによって使い分けるという発想です。
そこで、この記事では、AI時代における「AIで試す」と「専門家に頼んで仕上げる」の正しい使い分けについて、ホームページ制作を例として解説していきます。
目次
結論
AI時代の仕事の進め方は、二段階の役割分担 で捉えるのが現実的です。
- Phase 1:AIで試す ── 初期構想、プロトタイプ、たたき台、社内合意形成用のモック。このフェーズはむしろAIで高速に回すべき
- Phase 2:専門家と仕上げる ── 成果を出すフェーズ。ターゲット設計、コンバージョン設計、ブランド整合、運用設計。このフェーズは専門性が無いと「一応ホームページを作れはしたけれど成果が出ない」状態で終わる
AIを使うこと自体は、むしろ推奨される行動です。
ただし、「AIで作ったもの」と「成果を出すもの」は違う という前提を持っておくことが、AI時代を賢く生き抜くカギになります。
「AIは便利である」という前提から始める
まず、AIを活用することを否定するつもりはありません。むしろ逆です。
- 企画のたたき台が数分で手に入る
- 調査・情報整理が従来の10分の1の時間で終わる
- 非エンジニアでもプロトタイプを作ることができる
- 数十パターンのコピー案が一瞬で出てくる
これらは、ほんの数年前には考えられなかった生産性の向上です。
AIを使わない選択は、もはや合理的ではありません。
だからこそ、誰もが最初の一歩目として まずAIで試してみる べきです。
業務の入り口でAIを使うことをためらう必要は全くありません。
ただし、AIは魔法ではなく「パートナー」である
AIがここまで便利になると、「AIに任せてしまえば全てがうまく行く」という錯覚が生まれがちです。
しかし現実のAIは、魔法のツールではなく、あくまでも 人間のパートナー として位置付けるべき存在です。
- AIにプロンプトを打ち込んで指示するのは、人間
- AIのアウトプットが適切かどうかを評価するのも、人間
- そのアウトプットを実際のビジネスで使うかどうかの判断をするのも、人間
つまり、AIがいくら賢くても、操縦士である人間の能力がそのままアウトプットの質に反映される という原則は変わりません。
ホームページ制作を例として考えてみる
例えば、ホームページ制作の場合で考えてみましょう。
今の生成AIを使えば、専門知識がなくても、見た目がそれなりに整ったホームページを作ることは十分に可能です。
「◯◯業の会社のコーポレートサイトを作って」と指示すれば、構成案もデザインもコピーも、ひとまず出力されます。
数年前なら数十万円かけていたものが、数時間で形になる。これ自体は素晴らしいことですし、どんどん活用していくべきです。
ただし、ここで一度立ち止まって考えてみましょう。
- そのホームページは、本当に良いホームページか
- どこかに構造的な問題は無いか
- マーケティングを考慮した設計になっているか
- 想定するターゲットにとって魅力的なホームページになっているか
- そして、そもそも 目的(問い合わせ獲得・採用・ブランディング等)が達成されるホームページ になっているか
こういった点を正しく判断し、本当の意味での完成まで導くには、AIを操縦する側に 相応の専門性 が備わっている必要があります。
これが「作れる」と「成果が出る」の間にある壁です。
これはホームページに限った話ではない
上記と同じ事象は、あらゆる領域で起こっています。例えばこういったものです。
| 領域 | AIで作れるもの | 「専門性の壁」として存在する要素 |
|---|---|---|
| ホームページ制作 | 見た目が整ったサイト | コンバージョン設計、ブランド整合、SEO/LLMO、運用 |
| 経営企画 | 戦略のたたき台、SWOTらしきもの | 自社固有の制約、組織実情、実行可能性の見極め |
| 人事・採用 | 募集要項、面接質問集 | 企業文化との整合、人材市場の肌感、定着までの設計 |
| コピーライティング | コピー案の量産 | ブランドトーン、ターゲット心理、媒体適合性 |
| マーケティング | 施策アイデア、競合分析の下書き | 効果検証の設計、予算配分、中長期の一貫性 |
いずれの領域でも、AIはスタート地点に立つための時間を劇的に短縮してくれます。
しかし、ゴールまで運ぶのは、依然として 専門性を持った人間の仕事 です。
AI時代における「人の役割」の再定義
以上の話を踏まえると、AI時代に人間が担うべき役割は次の3点に集約されます。
- AIに適切な指示を出す(プロンプトを設計する)
- AIのアウトプットを正しく評価する(良し悪しを見極める)
- AIの結果を実際のビジネス成果に接続する(運用・判断を担う)
この3つの役割は全て 専門性が下支えしている ものです。
専門的な知識が無ければ、AIに良い指示が出せず、AIのアウトプットの良し悪しも評価できず、AIで作ったものを実ビジネスの成果に繋げることもできません。
Googleもこの点について、次のような趣旨の発信をしています。
AIを本当に活用するには、あなた独自の専門知識と判断力を使って、AIとのコラボレーションをリードする必要があります。あなたの役割は不可欠です。
AIが進化するほど、むしろ 人間の専門性の価値は相対的に高まっていく と言えるのです。
だからこそ、「試す」と「仕上げる」を分ける
ここまでの内容をまとめると、AI時代におけるプロジェクトの賢い進め方は下記の2フェーズに分けられます。
Phase 1:AIで試す
- 初期構想、プロトタイプ、たたき台
- 社内合意形成のためのモック
- 情報整理、競合調査の下書き
- 選択肢の洗い出し
このフェーズでは、スピードと選択肢の多さ が価値を生みます。
迷ったらまずAIに投げて、形にしてみるのが正解です。
専門家に相談する前段階として、先にAIを使って手を動かしておくと、その後の議論もしやすくなり、完成イメージの解像度も大きく上がります。
Phase 2:専門家と仕上げる
- ターゲット・目的に応じた設計
- ブランド・事業戦略との整合
- 成果指標(KPI)の設計と検証
- 運用・改善の仕組みづくり
- 外部要因(法規制、市場動向、競合)の織り込み
この段階で問われるのは、「作れたもの」を「成果を出すもの」に変換する力 です。
ここは、実際の業務経験や、組織・顧客・市場を見てきた時間の蓄積がものを言う領域です。
両フェーズを繋ぐのが「AIと専門性の掛け算」
重要なことは、Phase 1とPhase 2を分断させないことです。
AIで作った初期成果物を活かしながら、専門家が仕上げていく。この連続性を保つことで、AIを使う価値を最大化できます。
「AIで全て済ませる」でも「全て専門家に丸投げする」でもなく、AIと専門性の掛け算 が、現実的に最も成果が出るアプローチとなります。
よくある質問
Q. AIで作ったプロトタイプを、そのまま本番で使ってはいけないのですか?
A. 用途と責任範囲によります。
例えば社内検討資料、個人ブログ、短期のキャンペーンページなど、精度100%が求められない場面 であれば、AIでアウトプットしたものをそのまま本番の成果物とすることも十分に選択肢になります。
一方で、コーポレートサイト、採用サイト、商品販売ページなど、事業成果に直結し、長期間運用するもの については、専門家の関与を前提にしたほうが、結果的に投資対効果が高くなるケースが多いです。
Q. 専門家に頼むなら、最初からAIを使わずに全部任せた方が早いのでは?
A. 現在推奨される進め方は逆です。AIで一度触ってみてから専門家に相談したほうが、議論が圧倒的に速く進みます。
「なんとなくこういうイメージ」を言葉で伝えるより、AIで作ったプロトタイプを見ながら「ここは良い/ここは違う」と議論するほうが、要件定義の精度もスピードも格段に上がります。
AIは 専門家との対話の解像度を上げる道具 としても非常に有効です。
Q. 自社のメンバーの専門性を上げれば、専門家に頼まなくてもよくなりますか?
A. その方向性自体は正しいです。ただし、全ての領域で自社内に専門性を持つのは現実的ではありません。
自社のコア領域については、社内で専門性を育てる投資は重要です。
一方で、マーケティング、AI設計、LLMO対応など、専門性の幅が広く進化も速い領域 については、外部の専門家と組むほうが合理的です。
「何を内製し、何を外部と組むか」の設計自体が、経営判断として重要になってきます。
Q. AIと専門家を両方使うと、コストが二重にかかりませんか?
A. 役割分担が明確であれば、トータルコストはむしろ下がります。
Phase 1(たたき台・プロトタイプ)をAIで高速化することで、従来は専門家に依頼していた工数を大幅に圧縮できます。
その分、専門家には 本当に価値が出る部分(戦略設計・仕上げ・運用) に集中してもらえるため、同じ予算でより高いアウトプットが得られるようになります。
まとめ
- AIは非常に便利であり、初期構想・プロトタイプ・たたき台の段階では積極的に使うべき
- ただしAIは魔法ではなく、あくまで人間のパートナー。操縦士としての人間の専門性が、アウトプットの質を決める
- 「作れる」と「成果が出る」の間には、依然として大きな壁がある
- だからこそ、Phase 1:AIで試す/Phase 2:専門家と仕上げる の二段階で使い分けるのが、AI時代の合理的なアプローチ
- AIが進化するほど、人間の専門性の価値はむしろ高まっている
お困りごとベースでも、ぜひご相談ください
「AIでプロトタイプは作ってみたが、ここから先の進め方が分からない」
「AIで出てきたアウトプットを、本当の成果に繋げたい」
「自社の場合はAIと専門家をどう使い分ければ良いか相談したい」
こういったお困りごとベースでも、ぜひお気軽にご相談ください。
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