
こんにちは、株式会社テラ デザインチームです。
AI時代の到来とともに、企業内では 部署間のコラボレーションや情報連携による業務の高度化・合理化 が改めて重要なテーマとして語られています。個々人の生産性向上だけでなく、組織として情報を集約・共有し、人にもAIにも正しく届く状態をつくることが、これからの競争力を左右する要素となりつつあります。
こうした流れの中で、Office365の普及を背景に、SharePoint Online(以下SPO)を利用した情報共有・コラボレーション基盤の整備を進める企業が増加しています。リモートワークの定着、DXの推進といった働き方の変化も追い風となり、SPOは社内ポータルの中心的存在となっています。
一方で、生成AIの普及によって 企業内のドキュメントや社内コンテンツは爆発的に増加 しており、新たな課題も生まれています。情報を受け取る側(ヒト)への配慮、コンテンツ作成・運用ルールの整備、AIに統一的なアウトプットを生成させるためのガイドライン整備 ── こうした 運用面の取り組みは、多くの企業でまだまだ発展途上 というのが実情です。「作る速度」だけが先行し、「届く・使われる」設計が追いついていない状態とも言えます。
この記事では、SPOサイトの基本や運営のポイントを、こうした時代背景と、弊社が実際の現場でご支援している実践的な観点も踏まえて ご紹介します。
目次
SharePoint Online(SPO)とは?
SPOは、Microsoftが提供するクラウド型のコラボレーションツールで、チーム内での情報共有やファイル管理を効率化するプラットフォームです。Office365の一部として利用でき、Webブラウザを通じてアクセスが可能なため、さまざまなデバイスからリアルタイムで連携できます。文書の共同編集やプロジェクト管理、ファイルの一元管理など、多様な業務に役立つ機能が備わっています。
企業がSPOを導入する理由のひとつは、「情報の一元化」による業務効率化です。以前は個別のデータ管理システムやファイルサーバーを使っていた企業も、SPOを活用することで、関係者全員が必要なデータにスムーズにアクセスできるようになり、コラボレーションが加速しています。
SPOサイトの「クラシック」と「モダン」の違い
SPOには「クラシック」と「モダン」という2つのインターフェースがあります。
クラシックサイトは従来のSharePoint Serverに基づくデザインで、複雑なカスタマイズが可能ですが、ユーザビリティの面ではやや難解です。レガシーシステムとの連携が求められる企業に適しているものの、初心者には扱いにくい点があります。また、現在(2024年12月)は公式サポートが終了しているプロダクトとなります。
一方で、モダンサイトはMicrosoftが推奨する最新のデザインとUIを採用しており、操作がシンプルで初心者にも優しい設計です。レスポンシブ対応も充実しており、モバイルからのアクセスもスムーズで、Office365の他の機能との統合も進んでいます。クラシックサイトがサポート終了していることから、今後はモダンサイトへの移行や、モダンサイトでの新規構築が主体となります。SPOを初めて運営する場合にはモダンサイトの利用をおすすめします。
AI時代のSPOサイト運用の落とし穴
社内ポータルを取り巻く環境は、生成AIの普及によって大きく変わりつつあります。これまで時間をかけて作成してきたドキュメントや業務マニュアル、お知らせ、報告資料などが、AIによって短時間で・大量に・誰でも生み出せる ようになり、社内コンテンツのボリュームは爆発的に増加しています。
一方で、その量的な拡大に運用面の整備が追いついていないのが多くの企業の実情です。「作る速度」だけが先行し、
- 作り手ごとにAIへの指示の仕方がバラバラで、サイト全体としてのデザインやトーンの統一感が崩れる
- AIに投げて出てきたドキュメントを、そのまま貼り付けてしまう ような運用が散見され、長文・冗長・要点不明のコンテンツが社内に増殖していく
- 「コンテンツの受け取り手はあくまでも“ヒト”である」 という基本の視点が軽視され、ドキュメントを作ること自体が目的化してしまう
- 結果として、読み手が情報を探しにくく・読み取りにくい状態が積み重なり、AIに何を任せ、人間がどこを仕上げるのかといった 運用上の責任分界点も曖昧 になる
といった課題が、規模の大小を問わず顕在化しています。弊社にも、煩雑に散らかった情報をどうにか整理したい、というお客様からの相談が相次いでいます。
AIの出力をそのまま使うこと自体が悪いわけではありません。問題は、「読み手であるヒトに届く形に整える」という最後の一手間 が省かれがちなことです。どれだけ正確な情報でも、構造が整っていない・要点が立っていない・トーンが統一されていない状態では、社員にとって「使える情報」にはなりません。
だからこそ、AI時代の社内コンテンツでは、ベースとなるデザインシステムの開発と正しい運用、そして 読み手の負荷を起点にしたUI/UX設計とサイト構造の整理整頓 がこれまで以上に重要になります。AIにデザインのトーン&マナーを統一指示するためのdesign.mdの整備、コンテンツの最終仕上げを担保するレビュー運用、情報のたどりやすさを支えるIA設計 ── これらを整えてこそ、AIによる量的拡大が 「読まれる組織知」 として機能します。本記事では、こうした観点も踏まえながら、SPOサイトを構築・運営する際に押さえておきたい実践的なポイントをご紹介していきます。
SPOサイト構築の際に押さえておきたいポイント
SharePoint Online(SPO)サイトを構築する際には、運用フェーズに入ってから慌てることのないよう、事前にしっかりと計画を立てることが大切です。
ここでは、構築時に特に注意したいポイントを5つに分けてご紹介します。
1. 開発ルール策定
サイトの構築を始める前に、まず取り組みたいのがルール作りです。
具体的には、サイトに掲載するコンテンツを整理し、ディレクトリ構造を決定。あわせてデータの格納場所やファイルのネーミングルールも定義しておきます。これらのルールを明確にしておくことで、構築途中や運用フェーズでの混乱を防ぎ、スムーズなサイト管理が可能になります。
近年は AIの活用によってドキュメントが爆発的に増加 し、それゆえに人間にとって「必要な情報を探す」「正しく読み取る」ことが、かえって困難になっているという課題が顕在化しています。ドキュメントを作ること自体が目的化してしまい、読み手の負荷が考慮されないまま情報が積み重なっていく 状態は、多くの企業で起きています。
だからこそ、構築前のルール策定段階で、「どこに、どんな粒度で、何を置くか」というサイト構造の整理整頓 をしっかり行うことが、これまで以上に重要になっています。情報を生み出す速度が上がった今、それを 追いやすく・見つけやすく整える設計 こそが、ポータルの価値を決定づける要素となります。
2. UIUX設計
実際の構築に入る前に、サイトの主要ページのUI/UX(デザインや使いやすさ)をしっかり検討することが重要です。
SPOサイトはパーツを組み合わせてページを構築していく形式ですが、その前にページの目的や役割を明確にし、導線設計を十分に練っておく必要があります。いきなり画面を作り始めると、目的が曖昧な煩雑なサイトになりがちなので注意が必要です。
特にAI時代においては、「作り手の都合」ではなく「読み手の負荷」を起点にUI/UXを設計する という視点が欠かせません。情報量が増えれば増えるほど、ユーザーは「目的の情報にたどり着けるか」「ページを開いた瞬間に要点が掴めるか」をシビアに感じ取り、無意識的に評価します。導線、見出しの階層、ファーストビューでの情報設計といった一つひとつの設計が、実際にポータルを使うヒトの体験の良し悪しを左右します。それがコンテンツ全体が活きた使われ方をするかどうか、という根本的なテーマに繋がります。
3. 素材収集・パーツ作成
ページを構築する際には、テキスト原稿はもちろん、写真やイラスト、GIFアニメーション、動画、図表など、さまざまな素材が必要になります。
制作途中で「素材が足りない」とならないように、あらかじめ不足のないように収集・作成しておくことが大切です。
近年は、AIを活用してコンテンツや素材を量産する ケースが急速に増えています。一方で、その手軽さゆえに、サイト全体としてのデザインの統一感が失われやすい という新たな課題も生まれています。AIで作った素材がページごとに散在し、配色・トーン・スタイルがバラバラになってしまう状態です。言い換えれば、素材を生み出すことの価値は急速に下がっており、それをどう見やすく整理するか、というテーマがより一層重要になってきているのです。
これを是正するための取り組みの1つとして 「ベースとなるデザインシステムを開発し、正しく運用する」 という発想が欠かせません。素材単位ではなく、システム単位で品質を担保することが、AI時代の素材設計のスタンダードになりつつあります。弊社でも、この領域でのご相談を受ける機会が増えており、肌感覚としてニーズの高まりを実感しています。
4. ページ制作
設計と素材が揃ったら、いよいよSPOサイトの構築に取りかかります。
ユニークなページは個別に構築しますが、同じ構造が続くような量産ページについては、事前に基本パーツ(スタイルガイド)を作っておくと効率よく制作が進められます。全体のデザインやレイアウトの統一感を保つうえでも、スタイルガイドの整備は有効です。
このスタイルガイドをさらに発展させたものが、やはりデザインシステム です。カラー・タイポグラフィ・コンポーネント・テンプレートを体系化して整備することで、複数の部署や担当者が並行してページを作っても、自動的に統一感のあるアウトプット が生まれる状態を作ることができます。AIによってコンテンツ生成の速度が劇的に上がった今、量産時の品質を担保する「デザインシステムの有無」が、サイトの完成度を決定づける最重要要素となっています。
具体的なデザインシステムの例としては、アセット(画像・アイコン・コンポーネント)のパーツ集の整理と運用ガイドラインの策定 に加え、近年では デザインのトーン&マナーをAIに統一的に指示するための「design.md」の整備 などが挙げられます。design.mdとは、ブランドカラー・フォント・余白・トーン・禁則事項といったデザイン上のルールを、人間にもAIにも読み取れるテキスト形式(Markdown)で記述したガイドライン文書です。これを整備しておくことで、AIにコンテンツやレイアウト案を生成させる際にも、毎回同じデザイン基準を適用できる ようになり、人間とAIの双方が同じ「デザインのものさし」を共有しながら制作を進められる状態を作ることができます。
5. 多言語化
英語ページなどの多言語サイトを構築する場合は、まず日本語版(ベースとなる言語)でしっかりページを完成させます。
そのうえで、SPOの多言語機能を活用し、各言語のページを生成。そこに翻訳済みの原稿を流し込む形で制作を進めます。はじめから多言語を並行して作ろうとすると構造が複雑になりやすいため、段階的に進めるのがポイントです。
なお近年は、AI翻訳の精度向上により、多言語コンテンツの初稿生成が大幅に効率化 されています。一方で、機械翻訳をそのまま流し込むと、文脈やトーンの不整合が発生しやすいため、最終的には 人によるレビューと、デザインシステム上での文字長・レイアウト調整 が必須です。「AIで素早く翻訳する」と「人とシステムで品質を担保する」を組み合わせることが、現実的な多言語運用のかたちとなっています。
SPOサイト運営の際に押さえておきたいポイント
SPOサイトを効果的に活用するには、いくつかのポイントに注意が必要です。
1. アクセス権限の設定
SPOは多くの情報を共有できる強力なツールである一方、アクセス権限を適切に管理しないと情報漏洩のリスクが伴います。チームや役割ごとに閲覧・編集権限を細かく設定し、部署異動や退職に追従して権限を更新する運用フローを整えるなど、継続的に維持できるセキュリティ設計 を行うことが重要です。
2. コンテンツの整理と運用ルール
情報が集中するSPOでは、コンテンツが増えすぎると必要なデータが見つけにくくなる課題が発生しがちです。定期的な棚卸しによる不要ファイルの削除、ネーミング・タグ付けの統一、サイトオーナーによる更新管理など、「作る」だけでなく「整える」運用ルール を設けることで、サイトの利用効率と情報の鮮度を保てます。
3. AI活用を前提とした運用ガイドラインの整備
ドキュメントやコンテンツ作成にAIを活用することが当たり前になる一方で、作り手ごとに指示の仕方がバラバラで品質が揃わない、生成物がそのまま積み上がりサイト全体の一貫性が崩れる、といった新たな運用課題も生まれています。デザインのトーン&マナーをAIに統一指示する design.md、AI生成物のレビュー・承認フロー、AIに渡してよい情報の取扱いルールなど、AI活用を前提とした運用ガイドライン を整備しておくことが、これからのSPO運営の基盤となります。
4. バックアップとセキュリティ対策
クラウド上にデータを保存することでアクセス性は飛躍的に向上しますが、その分データ保護の責任も重くなります。重要データの別系統バックアップ、アクセスログの監視、外部共有ポリシーの明確化など、有事を前提としたリスク管理 を運用フェーズで継続することが推奨されます。
TERAのSPO構築サポートで安心運営を
株式会社テラ(TERA)は、SPOサイト(モダンサイト)の構築・運用において豊富な経験と実績を持ち、企業のビジネス目的に応じた最適なサイト設計・デザイン・コンテンツ制作をご提供しています。
また、SPOに限らずイントラ向けの情報整理やWebサイト構築、AI活用を前提としてスキームの構築などのご支援を行っています。
特に、従業員数1,000名以上の大企業や、複数部署・多拠点・多言語にまたがる全社展開 において、私たちの強みが最も活かされます。製造業大手・グローバル企業のお客様に対し、以下のような領域でご支援してまいりました。
- デザインシステムの設計・構築 ── 全社統一のカラー・コンポーネント・テンプレート、design.mdをはじめとするAI時代のガイドライン整備
- コンテンツ設計・制作・移行 ── 読み手の負荷を起点としたサイト構造の整理整頓
- 量産化のためのガイドライン策定 ── 各部署が自走でサイトを作っても品質が揃う仕組み
- ブランドガバナンス・運用ルール策定 ── 立ち上げ後に陳腐化せず、お客様で自走できる運用ガイドラインの設計
なお、弊社は デザイン・コンテンツ・運用設計 を専門領域としており、SPFx等のカスタムプラグイン開発やサーバーサイドの独自実装は対応範囲外となります。開発を伴う案件については、信頼できる開発パートナー企業様と連携してご支援する形を取らせていただいています。
AIの活用によってコンテンツが爆発的に増える時代だからこそ、デザインシステムによる統一感の担保 と、読み手にも人にもAIにもフレンドリーなスキームの設計・整備が、ポータルの価値を決定づけます。
30年に渡り企業課題を解決してきたTERAが、AI活用を前提としたSPOの全社展開を、設計・コンテンツ・運用の観点からトータルでご支援いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
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名古屋を拠点としたWeb制作会社、株式会社テラ
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