2023年3月9日

2023年3月9日

    Webデザインセミナー紹介:Vol.2 過去と現在のWeb

    顧問 スギヤマ

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    Webデザインセミナー紹介:Vol.2 過去と現在のWeb

    こんにちは、顧問の杉山です。

    Webデザインセミナー「メディアと時を超えるデザインの本質」の紹介、第2回は、グラフィックデザイン経験者から見たWeb制作の特徴です。デザイン経験者から見たWebデザインの本質とは何でしょうか?

    Webデザインを始めたい方、デザイナーのマインドを知りたい方はぜひお読みください。

     

    Webはノンストップ

    前回の記事で紹介した時代の移り変わりを経て、デザインやクリエイティブのどこが変わったか、変わらないか、といえば、まずスピード感は大きく変わりました。ことさらWebだから、というわけではないのだけれど、パソコンを使うことで結果までが圧倒的に早くなった。フィニッシュまで手っ取り早くできるようになっちゃった。そういう物理的なスピードですね。

    あと、表現におけるスピード感というのかな?それも変わりました。過去にとらわれない、どんどん新しい表現が出てくる。以前はある種の普遍的なものに対する憧れやこだわりがあったし、いいもの、お手本とすべきものの基準として、完成されたものがたくさんあったんです。そこに近づきたい、それになりたい、みたいな。だから、突拍子のないものでもじっくり見れば、外れているようで外れていない。

    それは、幸運なことにグラフィックデザインが円熟期を迎え、最高潮に達した時代にいたからこそ感じられたのことかもしれません。これからWebでも普遍的なものが確立されてくれば、ちょっとスピードも鈍るかな? いや、きっと無理ですね。技術とともに表現も進化するのがWebだろうから。

    制約がつくる面白さ

    見た目の話なのですが、サイズが小さくなりましたよね。

    だって、一般の人がオフィスや家庭で使ってるパソコンのモニタサイズってせいぜい20インチくらいでしょ(※1)。アップルのシネマディスプレイやiMacの例外、大型のテレビにつなぐということも例外的にあるかもしれませんが…。ともかく、そういったモニタサイズの中に「納まる」クリエイティブになっている。トリミングされた世界とも言える。

    でもそれは「良し悪し」じゃないですからね。どんなメディアにだって制約はあるし、その制約こそが作り手のモチベーションになっていく、面白さにつながっていると思うわけです。反骨精神。そっちがそう出るならこっちはこうしてやる、と。だからサイズが小さいとか、あれしちゃだめ、これしちゃだめ、みたいな仕事は逆に燃えますね。

    よく建築に喩えるんですが、限られた敷地にどれだけ魅力的な家を建てられるかが仕事だと思うのです。上へ上へどんどん伸ばしたっていい、100階建てだって建てちゃうぞ、と。あるいは外から見たらちっちゃいのに中は20部屋ぐらいあるむちゃくちゃ広い魔法のような家とか。実際は建築基準法などがありますし、無理かもしれないけど、表現のアイデアに規制はないですから。そんな制約の中で仕事するってことが実は面白いし、壁を破ることにつながるんじゃないかと思っています。

    ※1:2010年時点

    手で触れる、直接感じられることのよろこび

    他に変わったことといえば、もうよく言われてることですけど、Webは画面の向こう側であることです。

    もちろん、リアルワールドとの連動もありますが、ベースはモニタの中。これは大きいですね。手触りやめざわり、って言い方あるのかな? 立体感や質感でしょうか…まあ、モノとしての存在感ですね。手にする喜びとか。自分のものにできるうれしさとか。だって、店先に貼ってあるポスターとか欲しくって、こっそり剥がしに行ったりしませんでした? 私はしましたよ(もう時効ってことでお許しを)。

    あと、雑誌のページを見て、きれいだから!ってスクラップするとかね。そんな気持ちが起きるような、所有欲が沸くようなWebデザインができたらいいですよね。

    Webの表現はある部分建築に近い

    自分にとっての現物感の位置づけは、建築>プロダクト>グラフィック>Web となっています。

    建築なんて人がその中に入っちゃいますからね。現物の中。やっぱりかなわないなと。でもWebも、見ているうちに意識がすーっと、あっちの世界…変な世界じゃないですよ、画面の向こう側という意味です…に入っていくことがあります。そう考えると、Webって建築とすごく近いですよね。Web業界でも、構成や構造のことに対して「インフォメーションアーキテクト」なんて言葉も使ってるくらいだし。

    たとえば大きな施設に入るといろいろ目に飛び込んでくる、ポスターだったり、サインだったり。それはWebサイトで言えばバナー、アイコンですよね。相手が伝えたい!と思っているものはポスター=バナーになってるし、自然と誘導すべきものはサイン=アイコンで表現している。ボタン的なものひとつとっても、そういった意識で表現を使い分ける。バナーはリンク先で起きることをとにかくアピールできるものでなければならないし、見た瞬間に考えることなく直感的に誘導するものにはアイコンを使う。クリック=実際の行動を意識し始めると、Webサイトって意外なくらいにリアリティを持ってきますよね。

    階層って言葉もあるわけだし、一度地下鉄駅とかのフロア案内みたいにワイヤーを立体的に書いてみたらどうでしょうかね?すっごく複雑になるけど。

    縦から横へ、そしてまた縦へ?

    もうひとつ。変わったことの最後なんですけど。Webはどうしてもデザインが横位置基準になってしまう。全体を一目で見渡すことが難しい。これは、画面的にも構成的にもそうなんですが。

    スクロールを含めて考えれば、一種の極端な縦位置といえなくもないですけど。一度に見られるのはトリミングされた横位置の「部分」に過ぎません。でも、これは最近のiPadやKindleといった電子書籍、デジタルサイネージなどの広がりでまた方向性が変わりそうですね(※1)。Webでも縦位置での一枚モノとしてのレイアウトが復活したとしたら、一目で見たとき、見られることのインパクトが表現に加わることになりそうで、ちょっとワクワクしています。

    昔から未来へ、デザインの変化の速度に対して、どれだけ柔軟に対応していくことができるか。それがこの業界で仕事をするにあたってとても大事なことなのではと思います。

    ※2:2010年時点

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    「ええね!」する

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