05熱い想いが実を結ぶ~Webを核としたクロスメディアで最高の成果を~

20th

熱い想いが実を結ぶ

2012年も押し迫ったある日、藤田は友人と会うために家を出た。途中、楽しそうに談笑する、帰省と思しき家族連れと何度もすれ違う。

「家族で出かける年越しの行事。名古屋は熱田神宮の初詣か、初日の出を見に行く・・・、くらいか。実家に帰り親孝行をしたい人、単身赴任で久しぶりに家族と過ごす人、みんなで年末年始の思い出をつくれるスポットやイベントがもっとあればなあ・・・。」

生粋の名古屋人である藤田は、生まれ育った街の現状を寂しく思っていた。

友人は大寺院の住職。情報交換を兼ねた会食の途中で、藤田は普段の思いを住職に話した。「日本の流れは少子化・核家族化だ。グローバル化も加速し、教育も変わっていく。そこで育った子どもや若者は、お寺やお墓に行き、ご先祖様に手を合わせる伝統を失わずにいられるのだろうか?名古屋には、コンビニよりも多くお寺が建つ地域もあるのに。」

住職は頷いた。「ああ。それが今、寺が抱える大きな問題なんだ。私たちはもう、強い向かい風に曝されている。この問題を寺院全体で把握し共有すべきだと思っている。」 「そうだ、藤田君。これらの話を講演という形で、住職たちにしてもらえないか?」その場で話はまとまり、藤田は約60名の住職を前に講演することになった。

講演当日。藤田はやや早い時間に、会場となる東別院(名古屋別院)に着いた。全体をぐるっと見渡す。瞬間、閃くものがあった。
「そうだ!ここならやれるぞ。」
今回の講演テーマ「寺院の今後について」と「名古屋でみんながひとつになる年越しイベント」が一つに結ばれたのである。

「この広さなら、相当数の観客が同時に訪れても問題はない。5,000人程度なら余裕だ。大晦日に家族の忘れがたい思い出となるイベントに相応しい!」

盛況に終わった講演会の後、提案の機会を得た藤田は、この画期的なプロジェクトについて切々と語った。提案に東別院も大いに共感し、新イベントの計画はトントン拍子に進んだ。それが、2013年12月31日に開催された、これまでにない大晦日イベント「東別院 初鐘×D-K Live デジタル掛け軸」である。

初鐘の音と共に、伽藍に数百万の鮮やかな映像を投影し、幻想的な空間を創り出す壮大なイベント。東別院と藤田の思いが一つになり、走りだしたのである。

このプロジェクトを知った虐待児を守る活動を行うNPO法人・子どもハートクラブの代表から「私たちも何か協力させてほしい」との申し出もあり、施設で暮らすこども達が夢を書く「夢キャンドル」というイベントが同時開催となった。

会場は確保、内容も充分。だが、問題は広報だった。
イベントは12月31日夜から元旦。テレビ局など各種メディアは年末年始は実質休業で、精力的な広報活動が必要な直前にアピールできない。初回とあって広報予算も限られている。

だが、藤田には勝算があった。株式会社テラが掲げる「Webを核としたクロスメディア」の活用である。
「Webを展開の中心に置き、さまざまなメディアを連動させてイベントの魅力を広めれば、プロジェクトは絶対に成功する!」

TERAのスタッフも、今までにない取り組みに心を動かされた。デザイン力を余すところなく発揮した特設Webページやポスターの制作、SNS等の活用・・・。これまでのノウハウと戦略的思考を駆使し、東別院やこどもハートクラブの協力を得ながら広報活動を行ったのである。

2013年12月31日。

厳しい寒さの中、開始から大勢の人が東別院に集まり、夜空に浮かび上がる鮮やかな伽藍に驚嘆の声を上げた。そこには、無数の家族の笑顔があった。
本堂の前で、多くの人に握手を求められる藤田。
「やりましたね!」「おめでとう!」ある友人は、「先祖のお骨が納められているが、来る機会を失っていた。来られたのは藤田のおかげだ。」と言った。

「東別院 初鐘×D-K Live デジタル掛け軸」の来場者は2万人を数えた。当初の予想を遥かに上回る大成功だった。

翌2014年も直前まで降り続いた雨にもかかわらず、第1回を上回る動員数を記録。さらに、二週間後には、豊田市初の国際会議に合わせて、同じD-Kをテーマに「D-K Live デジタル掛け軸 in TOYOTA」を開催し、大きな話題を集めた。

「Webを核としたクロスメディアで、最高の成果を出します」

20年の歴史の中で、藤田がTERAの会社紹介で幾度となく語っているフレーズ。今回の成功は、その高い効果を改めて実証した。

これは、自分とTERAが目指す道程の大きなマイルストーン。今後も我々の大きな柱だ。藤田はその思い改めて強くしたのである。

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